海外赴任・帰任時の住宅ローン控除の取り扱い

マネー
スポンサーリンク
相談者
相談者

都内でメーカーに勤務するサラリーマンです。

今年の6月から仕事の都合で3年間海外駐在することになり家族帯同で赴任することになりました。

住宅ローン控除の適用期間がまだ6年分残っているのですが、海外駐在中でも住宅ローン控除の適用は受けられるのでしょうか?

さとパパ
さとパパ

なるほど。住宅ローン控除は税控除額が大きく住宅ローンを抱えているサラリーマンには恩恵が大きいから気になるよね。

残念ながら相談者さんのケースでは海外赴任中は受けられない。ただ、海外赴任前に手続きをしておくことで、帰任時にローン控除を受けられる制度がある。

私も以前、住宅ローン控除適用期間中に海外赴任・帰任をしたことがあるから、以下で説明していこう。

スポンサーリンク

海外赴任中は住宅ローン控除は適用されるのか?

住宅ローン控除は、ざっくり言うと

「その年の12月31日に住んでいる場合に適用される制度」

となります。

海外赴任中の取り扱いは国税庁HPに記載があります。

No.1234 転勤と住宅借入金等特別控除等|国税庁

以下、できるだけ分かりやすく説明します。

家族帯同で赴任し誰も居住しない場合は適用されない

相談者さんの場合、6月から家族帯同で海外赴任されるとのことであり、12月31日には居住していませんので、本年度分の住宅ローン控除は適用されません。

単身赴任の場合は適用される

ただし、単身で赴任し、家族は引き続き居住する場合は例外的に住宅ローン控除の適用が受けられます。

(1) 単身赴任等の場合

 家屋の所有者が、転勤、転地療養その他のやむを得ない事情により、配偶者、扶養親族その他生計を一にする親族と日常の起居を共にしない場合において、その住宅の取得等の日から6か月以内にその家屋にこれらの親族が入居し、その後も引き続き居住しており、当該やむを得ない事情が解消した後はその家屋の所有者が共にその家屋に居住することと認められるときは、その家屋の所有者が入居し、その後もその家屋の所有者が引き続き居住しているものとして取り扱われ、この特別控除等の適用を受けることができます。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1234.htm

帰任後、再度控除を受けられるのか?

帰任後、控除の適用が再開できます。ただし、以下の条件を満たす必要があります。

  1. 控除適用期間が残存していること
  2. 赴任前に、「海外赴任のための中断手続き」を実施済みである

控除適用期間が残存してれば控除が受けられる

帰任後も当初の控除適用期間が残存していれば、再度適用を受けることが可能です。
ただし、海外赴任中の期間分、適用年度が延長されるということはありませんのでご注意ください。

例:
住宅ローン控除適用期間 10年
初年度  2012年
最終年度 2021年
赴任期間 2017年5月から2019年10月まで

(適用可否)
2012年 適用
2013年 適用
2014年 適用
2015年 適用
2016年 適用
2017年 適用外 *12月31日非居住のため
2018年 適用外 *12月31日非居住のため
2019年 適用 *12月31日居住のため
2020年 適用
2021年 適用
2022年 適用外 *住宅ローン控除適用期間外のため
以降、同じく適用外

再開するには赴任前に中断手続きが必要

ただし、転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」を最寄りの税務署に提出して承認を得ておく必要があります。
適用期間分の年末調整用の申告用紙を所有している場合は合わせて税務署に返却します。
忘れないようにしてください。

帰任後に再度控除を受けるための手続き・注意事項は?

確定申告が必要

12月31日以前に帰任した場合(居住再開した場合)、確定申告をすれば控除が受けられます。

(適用可否)
2012年 適用
2013年 適用
2014年 適用
2015年 適用
2016年 適用
2017年 適用外 *12月31日非居住のため
2018年 適用外 *12月31日非居住のため
2019年 適用 *12月31日居住のため
2019年度分の確定申告(還付のみの場合、2020年1月以降可能)を行うことで再開できる。

2020年 適用
2021年 適用
2022年 適用外 *住宅ローン控除適用期間外のため
以降、同じく適用外

2020年分以降は、年末調整用の申告書が税務署より送られてくるため、確定申告ではなく年末調整で対応が可能です。

話がずれるかもしれませんが、ふるさと納税にワンストップ特例制度を利用している場合、住宅ローン控除(を含むなんかしらの用途)の確定申告を行うとワンストップ特例制度は無効となります。必ず、確定申告でふるさと納税の申告を行なってください。でないと、ふるさと納税の還付が受けられなくなります。

賃貸用に貸し出していた年度分は控除対象外になる

帰任し、12月31日に居住していたとしても、その年に賃貸用として住居を貸し出していた場合は、その年は控除対象外となります。
以下の事例では、帰任年の2019年は控除適用外となり、2020年分からの適用となります。

例:
住宅ローン控除適用期間 10年
初年度  2012年
最終年度 2021年
赴任期間 2017年5月から2019年10月まで
賃貸貸出期間 2017年10月から2019年6月まで

(適用可否)
2012年 適用
2013年 適用
2014年 適用
2015年 適用
2016年 適用
2017年 適用外 *12月31日非居住のため
2018年 適用外 *12月31日非居住のため
2019年 適用外 *12月31日居住しているが同一年度の6月まで賃貸用として貸出していたため
2020年 適用
2021年 適用
2022年 適用外 *住宅ローン控除適用期間外のため
以降、同じく適用外

まとめ

  • 海外赴任中は住宅ローン控除は受けられない
  • 中断証明書を取得しておけば、帰任後に控除再開できる
  • 控除再開には確定申告が必要
  • 賃貸用に貸出していた年は控除対象外となる

住宅ローン控除についてもっと深く知るには・・・

コメント

タイトルとURLをコピーしました